◆住吉朋彦 SUMIYOSHI Tomohiko
慶應義塾大学附属研究所斯道文庫教授。東洋書誌学・中世日本漢学専攻。
著書:『中世日本漢学の基礎研究 韻類編』(汲古書院、2012)
共著:『大曾根文庫綫装本待修目録并善本解題』(慶應義塾大学附属研究所斯道文庫,2015)、『合壁影印中日分蔵珍本 分門纂類唐宋時賢千家詩選』(北京大学出版社、2014)、『台湾大学図書館蔵珍本東亜文献目録 ―日本漢籍篇 』(国立台湾大学出版中心、2008)
論文:「カリフォルニア大学バークレー校東アジア図書館蔵日本伝来漢籍目録解題初編」(「斯道文庫論集」46、2012)、
「米国議会図書館蔵日本伝来漢籍目録解題長編」(「斯道文庫論集」41、2007)
◆海野圭介 UNNO Keisuke
国文学研究資料館准教授。日本中世文学・和歌文学専攻。
編著:『高松宮家伝来禁裏本目録』(国立歴史民俗博物館、2009)*国立歴史民俗博物館資料目録[8-1]。
論文: ”A History of Reading: Medieval Interpretation of the Kokin Wakashū,”ハルオ・シラネ他編『世界へひらく和歌―言 語・共同体・ジェンダー/Waka Opening Up to the World: Language, Community, and Gender』(勉誠出版、2012)
The Kotenseki Workshop sponsored by C. V. Starr East Asian Library and the Center for Japanese Studies, University of California, Berkeley, and the National Institute of Japanese Literature was held at the C. V. Starr East Asian Library on March 3, 2017.
講演: 日本の『死の舞踏』: 『九相詩』と『一休骸骨』Kūsōshi and Ikkyū Gaikotsu by Yūichirō Imanishi 今西祐一郎 (NIJL)
要旨: ヨーロッパ中世を覆った「メメント・モリ」の思潮をもっとも雄弁に表すのは、『死の舞踏』(La Danse Macabre)という絵画で、書物としては15世紀1485年にフランスで出版された。そこには貴賤を問わずすべての人間を死へ誘う骸骨の姿が描かれている。いうまでもなく骸骨は死の象徴である。しかし、人間が死を免れないはかない存在であることは、洋の東西を問わない。日本では仏教の教えに「九相」ということが説かれていた。「九相」とは人間が死後、白骨になるまでの死体の腐敗変貌の過程の九段階のことであり、それはまさに仏教の「メメント・モリ」であった。その九相の図が描かれ、その絵に解説の漢詩と和歌を添えて『九相図』という書物が作られた。生のはかなさと生に執着することの無益を教える書物である。それは「メメント・モリ」に親しんできた西洋人、すなわち16世紀後半から17世紀はじめにかけて日本でキリスト教布教に努めた宣教師達にも注目され、布教のために出版されたイエズス会の出版物にも利用されている。『九相詩』の後、『九相詩』とはまったく別の角度から「メメント・モリ」を教える書物が出現した。『一休骸骨』である。酒を飲み踊り唄い、男女抱擁し、そして病と死、葬送、遺された者の出家・剃髪という人間の営みが、すべて骸骨の姿で示される。その絵は滑稽とユーモアにあふれているとも言えるが、その底に流れているのは、死すべきものとしての人間の究極の姿である。踊り唄う骸骨の姿は、まさに「死の舞踏」であるが、生と死を対立的に捉え生者を死へ誘うヨーロッパの骸骨とは異なり、生とは実は死にほかならないという、生死一如を表周する骸骨の姿がそこには見出される。骸骨はたんに生と対立する死の象徴なのではなく、生の究極の姿なのである。『九相詩』と『一休骸骨』の二書を取り上げて、日本中世の「メメント・モリ」について考えたい。
◆今西祐一郎 IMANISHI Yūichirō
国文学研究資料館館長。平安時代文学・日本語表記論。
著書:『源氏物語覚書』(岩波書店、1998)、『蜻蛉日記覚書』(岩波書店、2007)
校注書:『蜻蛉日記』・『源氏物語』(共著。岩波書店、1989)*新日本古典文学大系、『蜻蛉日記』(岩波書店、1996)*岩波文庫、『与謝野晶子訳 蜻蛉日記』(平凡社、1996)*平凡社ライブラリー、『通俗伊勢物語』(平凡社、1991)*東洋文庫、『古今集遠鏡』(平凡社、2008)*東洋文庫、『和歌職原抄』(平凡社、2007)*東洋文庫
◆入口敦志 IRIGUCHI Atsushi
国文学研究資料館准教授。日本近世文学専攻(江戸前期学芸)。
著書:『武家権力と文学 柳営連歌、『帝鑑図説』』(ぺりかん社、2013)、『漢字・カタカナ・ひらがな─表記の思想』(平凡社、2016)*ブックレット〈書物をひらく〉
論文:「描かれた夢─吹き出し型の夢の誕生─」(荒木浩編『夢見る日本文化のパラダイム』所収、法蔵館、2015)、「古活字版の黎明─相反する二つの面─」(『アジア遊学』184、勉誠出版、2015)、「日光東照宮正面唐門彫刻小考」(『大日光』84、2014)
◆神作研一 KANSAKU Ken’ichi
国文学研究資料館教授。日本近世文学専攻(和歌史・学芸史)。
著書:『近世和歌史の研究』(角川学芸出版、2013)
編著:『ハーバード燕京図書館の日本古典籍』(共編、八木書店、2008)、『むかしをいまに 鉄心斎文庫短冊総覧』全2冊(共編、八木書店、2012)、『シーボルト日本書籍コレクション』(共編、勉誠出版、2014)
論文:「An Outline of the History of Waka in the Edo Period」(『国文学研究資料館紀要(文学研究篇)』40号、2014)
◆恋田知子 KOIDA Tomoko
国文学研究資料館助教。日本中世文学専攻(物語・説話および寺院資料)
著書:『仏と女の室町 物語草子論』(笠間書院、2008)、『薄雲御所 慈受院門跡所蔵 大織冠絵巻』(勉誠出版、2010)、『異界へいざなう女―絵巻・奈良絵本をひもとく(仮題)』(平凡社、2017)*近刊*ブックレット〈書物をひらく〉
共著:『絵が物語る日本―ニューヨーク スペンサー・コレクションを訪ねて―』(三弥井書店、2014)
論文:「The Current State of Research on Monogatari-sōshi: Women, Changelings, and Other Worlds in Otogi-zōshi」(『国文学研究資料館紀要(文学研究篇)』43号、2017)*近刊
◆小山順子 KOYAMA Junko
国文学研究資料館准教授。日本中世文学専攻(韻文)。
著書:『藤原良経』(笠間書院、2012)*コレクション日本歌人選、『和歌のアルバム―藤原俊成、歌を詠む・編む・変える―』(平凡社、2017)*近刊*ブックレット〈書物をひらく〉
共著:『和歌のルール』(笠間書院、2014)
論文:「「主ある詞」と本歌取り」(『和歌文学研究』112号、和歌文学会、2016・6)
◆落合博志 OCHIAI Hiroshi
国文学研究資料館教授。日本中世文学(散文学・芸能)・日本古典籍書誌学専攻。
編著:『中世歌謡資料集』(汲古書院、2005)、『江戸時代初期出版年表』(共編、勉誠出版、2011)
共著:『慶應義塾図書館の蔵書』(慶應大学出版会、2009)、『古典籍研究ガイダンス 王朝文学を読むために』(笠間書院、2012)、『神と仏に祈る山』(法蔵館、2016)
論文:「仏書から見る日本の古典籍」(『調査研究報告』34号、2014)
◆柳瀬千穂 YANASE Chiho
国文学研究資料館プロジェクト研究員。日本中世文学専攻(特に能楽の演出)。
共著:『観世元章の世界』(檜書店、2014)
論文:「『葛巻昌興日記』所引能楽記事稿(貞享二年分)」(共著。『演劇研究』39号 早稲田大学坪内博士記念演劇博物館、2016)、「報告 ワークショップ「江戸初期型付に基づく実験的復元」」(共著。『能楽研究』37号(法政大学野上記念能楽研究所)、2013)、「能の型付資料に基づく所作単元の分析と舞の3Dアニメーション合成」(共著。『研究報告人文科学とコンピュータ(CH)』2011-CH-91 No.7、2011)